Koichiro Tokumochi
徳持耕一郎


in English



私にとってのアートは浮世絵に始まり、今ジャズを「線」で描く。

江戸時代の浮世絵に魅せられ、大学の工学部を中退し版画全般
(木版画、銅版画、石版画、シルクスクリーン)を学び、
木版画で作品を約10年作り続ける。
2度に渡るヨーロッパ旅行で美術と建築の歴史に触れる。
1989年NYでの個展のチャンスを得て、NYのアートともう一つの
顔「ジャズ」に感化される。ある夜、ビレッジ・ゲートでライブを
聴いていて思わずナプキンにスケッチしたのがきっかけで、
それ以降今も描き続けている。それまでの描くことを拒否するような
「木版画」に対して、ジャズのスイング感と描いた走るような「線」が
一致した。その時から改めて描くことの楽しさに目覚め、線を走らせている。
ある種。日記のようでもあったスケッチが表現の源になって行き、
シルクスクリーンの作品になり、「鉄」という素材との出会いから
「鉄筋彫刻」というスタイルを生み出すことになる。それは、1993年に
鳥取県民文化会館での個展がきっかけであった。50点の版画やポスターの
作品を展示した中で、ぽっかり空いた空間に何を置こうかと考えて
発想したのが「鉄筋彫刻」だった。思わぬ面白さに、その後、溶接
して作る「鉄筋彫刻」に夢中になり10年以上になる。
室内、屋外を問わず、至るところで展示、インスタレーションを
行ってきた。特に、地元鳥取砂丘では何気なく持って行って
写真を撮るつもりが、美しい夕焼けに出会い、作品の背景として
好んで使う。そこには「時間」の経過があり、ドラマがあった。
近年は、街という空間にも置かれ、新たな展開を示す。
パブリックアートと言う作品郡があるが、「鉄筋彫刻」もよりPOPな
存在になって行く。「鉄筋彫刻」には、多くの「制約」がある。
それは、素材の太さの種類が少ないこと、均一な太さの無機質で冷たい
線であること、線そのものが表情を持たないこと、堅くて曲げ難いこと
などである。(今までは、それ等の制約を望んだし、むしろ楽しんできた)
しかし、しばらく専門である「版画」から遠ざかっていたことが
今また「版画」作品を作りたい衝動にかられ、2002年から銅版画
を始める。「線」にこだわり、ピカソやクレーを見てきて、
「銅版画をやらなきゃ」と思った。考えてみれば、ヨーロッパの
画家達は油絵と同次元で銅版画で作品を作っている。その数は半端じゃない。
皆、版画の面白さ、良さを心得ていた。
1862年から作り続けられているフランス製インク「シャルボネ」。
用いる紙はフランス製ハーネミューレ、アルシュなど。
ピカソの時代も同じインクで同じ紙に、同じ技法で作品を刷ったに違い無い。
と、思いながら作っているとなぜか楽しくなる。
ジャズのライブを描き止めた数々のスケッチを、銅版画(エッチング)という
技法で描き残して行く作業に今、夢中だ。


日本の芸術のアイデンティティは「線」にある

いつも「線」について考える。自分にしか描けない「線」。
面白い考察をみつけた。浮世絵の「線」をダイレクトに語っていたものだが、
「あれは描いたのではなく、彫刻刀で彫られた線だからこそ、突き刺すような
雨の表現になった、と。あれだけシャープな雨は世界中探してもないかもしれない。
パリの藤田がフジタとして認められたのは「乳白色」の肌と、面相筆で描かれた
か細い輪郭線に特徴かあるからだ。彼はそれを意図して描いた。




PROFILE

       
1957
鳥取市生まれ(Jan.27)
1980 遊学(ドイツ、オーストリア、スイス、イタリア)
1982 創形美術学校版画科卒業
第50回日本版画協会展(都立美術館・上野)
第8回神奈川版画アンデパンダン展
1983
第51回日本版画協会展
1984
第52回日本版画協会展
1985
第11回神奈川版画アンデパンダン展
第1回和歌山版画ビエンナーレ展(和歌山県立美術館)
第53回日本版画協会展
遊学(フランス、スペイン、ポルトガル、スイス、イタリア)
1986
第8回フレヘン国際版画トリエンナーレ展(ドイツ)
第12回神奈川版画アンデパンダン展
ブダペスト国際"Art of Today '86(ハンガリー)
1987
第55回日本版画協会展
第13回神奈川版画アンデパンダン展
第3回国際"Works on paper '87"(大阪現代美術センター)
1988 第14回神奈川版画アンデパンダン展
1989
"アーチストの森" Part 16[View]Jan.5~31(キリンハートランドギャラリー・六本木)
アメリカ東海岸遊学(ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンDC.)
Oct.14~19 NYグリニッジ・ビレッジ Open House Gallery にて個展
1990
個展「私の出会った音楽家達」(アートサロン"SOH"鳥取)
1993
個展「私の出会った音楽家達」Vol.2(鳥取県民文化会館)
1994
ピアニスト佐山雅弘氏とギャラリーコンサート開催
1995
「国際平和コンサート」記念展(鳥取県民文化会館)
1996
「橋(BRIDGE)」5人展( Bronx River Art Center & Gallery, NY.)、 展覧会中、地元の中学生達に木版画の実演をする。
アート・フェスティバルin 鶴来'96(石川県鶴来町)
1997
アート・フェスティバルin 鶴来'97(石川県鶴来町)
9月・個展「私の出会った音楽家達」Vol.3(岡山市・まつもとコーポレーション)
10月・個展「私の出会った音楽家達」Vol.4(勝山町・辻本店-西蔵)
11月・個展「私の出会った音楽家達」Vol.5(倉敷市・夢空間”はしまや”)
1998
7月・個展「私の出会った音楽家達」Vol.6(神戸市/ギャラリー・イラナグーア)
7月・アーティスト・ラン・キャンプin三重
8月・パナソニック・グリニッジビレッジ・ジャズフェスティバル・アートコンペティションin NY(ジャズ・ギャラリー)
2000
7月・個展「私の出会った音楽家達」Vol.6(神戸市/ギャラリー・イラナグーア)
7月・アーティスト・ラン・キャンプin三重
8月・パナソニック・グリニッジビレッジ・ジャズフェスティバル・アートコンペティションin NY(ジャズ・ギャラリー、USA)
3月・個展『FIGURES』(鳥取・ギャラリー槐)
6月・個展『FIGURES.2』(倉敷・夢空間はしまや)
10月・作品展『ETERNAL』(東京・大崎ゲートシティホール)
12月・グループ展(倉敷・ギャラリー・幹)
2001
7月 ・松本英彦トリビュートライブでエディ・ゴメスカルテットに同行
9月・岡山県奈義町現代美術館にて作品展「Figures」
2002
3月・個展『FIGURES3』(鳥取・ギャラリー槐)
9月・2002日仏アートマルシェ(大阪・国際会議場)でメインアーチストの1人として紹介される
2003
3月・個展『新作銅版画展---カタログレゾネ2003-1』(倉敷・夢空間はしまや)
8月・個展『新作銅版画展---カタログレゾネ2003-2』(鳥取・ギャラリーえんじゅ)
10月・「マサちゃんズ」とドローイングでセッション(鳥取・わらべ館)
11月・川嶋哲郎(sax)とドローイングでセッション(神戸・ギャラリー里夢)
2004
5月・個展『Figures 4』(東京・銀座「伊東屋」)
7月・『MOCAMBO展』に出品(横浜・赤レンガ倉庫)
8月・「アートメッセ2004」(大阪・ホテル・センチュリーハイアット)
10月・「ジェレミー・スタイグ&徳持耕一郎アート2人展(横浜・有隣堂書店本店ギャラリー)




ILLUSTRATION

1989
NYビレッジ・ゲートにてジャズメンをナプキンに描く
帰鳥
1990
ジャズスポット「5ペニーズ」のポスター製作開始
1991
Swing Journal 誌にイラスト掲載される(1、2、5、7月号)
渡辺香津美(2月号)、マイルス・デイビス(12月号)
1992
M.J.Q.(1月号)、ポスターがS.J誌のプレゼントに。
1993
S.J誌巻頭扉のイラスト、レギュラー(1〜7月号)
アルファ・レコードCD[Sound Catalogue]15枚ジャケット作成
個展「私の出会った音楽家達」Vol.2に初めて鉄筋彫刻を発表(2点)
S.J誌5月臨増にイラスト3点製作
S.J誌11月号別冊付録「アルファジャズ・ブック」にイラスト4点製作
1994
S.J誌5月臨増にイラスト1点製作
1995
松本英彦氏CD [FURUSATO] (キングレコード) のジャケットイラスト担当
1996
第47回中国地区歯科医学大会(同時に松本英彦コンサート開催)プログラム表紙イラスト製作。
Bronx の展覧会中、NYでエディ・ゴメス氏やロン・カーター氏などに会う
山口武(g)&ロン・カーター(b) デュオコンサートのポスター作成
1999
川嶋哲郎「エターナル・アフェクション」のデザイン担当(キングレコード、2月)
2000
鳥取市内に鉄筋オブジェ5点設置される。(3月)
2001
4月、エディ・ゴメストリオのCDジャケット作成、「Eddie Gomez Trio Live in Japan」NYでリリースされる
松本英彦トリビュートコンサート(エディ・ゴメスカルテット)に同行<広島、青森>
2002
松本英彦トリビュート番組(FM東京・ミュージック・バード)オンエア<3/31>
第1609回「遠くへ行きたい」--鳥取編--で作品が紹介される<7/7>
NHKで作品製作風景が紹介される(総合、教育、BS<日本語、英語>)(7月)
2003 NHK・「カウウントダウン東京JAZZ」スタジオ収録のスタジオセットに鉄筋彫刻が使われる(7月)
JFM-FMフェスティバルでHPに紹介される(ラジオインタビューされる)(11月)
2004 「ジェレミー・スタイグ&徳持耕一郎アート2人展」の様子がNHK総合TVニュースで関東全圏にオンエア(10月)
FM東京ミュージックバードで「ジェレミー・スタイグ&徳持耕一郎アート2人展」の様子が紹介される。 ジェレミーと徳持のインタビューあり。(11月)



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